【決して他人事ではありません】今すぐ始めるべき“相続対策” 知人...

【決して他人事ではありません】今すぐ始めるべき“相続対策”

知人から相談がありました。
「もう人を信じられない…」

...

知人は数年前にご主人を亡くし、お姑さんと二人暮らし。
子供たちは皆結婚し独立しています。
長年パート勤めをしながら、持病で体が不自由になり入退院を繰り返したご主人を何年も献身的に介護し。
そして看取りました。

お姑さんはかなりの高齢で、数年前から車椅子が必要になり、さらに近年は認知症も悪化…
施設に入所していましたが、この秋に亡くなり葬儀を終えたばかりでした。

そろそろ落ち着いた頃かと連絡をしたところ、冒頭の訴え。

知人は本当に真面目で働き者、一生懸命で、人のために尽くす人。
年齢は違いますが、いつも私を気遣い励ましてくれ、時には手作りの美味しい漬物や煮物を分けてくださる、私にとっては肝っ玉母さんのような存在。
そんな私の大切な知人が眠れないほど気に病んでいる事は…
『相続』

亡くなったご主人の兄弟二人が、お姑さんの遺産のことで文句をつけてきたのです。

知人によれば、お姑さんの遺産(現金)は法定相続人で分けるとそれぞれ80万円ほどであったそうですが、
「亡くなる前に母のお金を使い込んでいた」
「誠意を見せろ」
「弁護士に相談し訴えを起こす」
などと信じられないような罵詈雑言の数々。

自分の兄と母を、親身になって介護し看取った義理の姉に対して、です。
ご主人が生きていたら、こんな騒動にはならなかったかもしれません。
義理の兄弟からそんな仕打ちを受け、早くこの騒動を終わらせて縁を切りたい、とのこと。

4人兄弟の私にも、まさに他人事とは思えない内容です。

2019年7月施行の民法改正で、相続人ではなく相続人の配偶者など(まさに知人のケース)が介護などを通して被相続人に寄与していた場合には、相続人ではない者にも財産を分ける“特別寄与制度”が作られました。
被相続人への貢献度における不公平を是正するためです。

苦労して面倒をみても何の権利もない、長男の嫁だから当たり前…
そんな時代ではありません。

しかし法律は整備されたとしても、感情的なしこりは残るかもしれません。
もし、今回の知人の場合、お姑さんが正規に認められた遺言書を持っていたら。
騒動にならず、双方が大きなストレスに苛まれることもなかったかもしれません。

裁判所が公表している統計によると、平成30年に認容・調停が成立した遺産分割事件の遺産価額件数は、1,000万円以下が約33%、5,000万円以下が約43%と、合わせて76%にも達しています。

資産が少ない方がもめるケースが多いのが実情…

にもかかわらず。
『不動産相続の相談窓口』が行った“相続に関する意識調査2017”によると、
相続対策を「何もしていない」は84%にも上りました。
理由も「対策するほどの資産が無いから」が約50%。

データをふまえ、以下のようなケースに該当する方は、特に何かしらの相続対策を早急に行う必要があります。

1.分けられない、分け方が難しい
 金融資産がなく不動産(自宅)のみ

2.不公平感=感情的に折り合いが難しい
 両親の面倒(介護)を兄弟のうち一人だけがみていた(もしくは同居の嫁など)
 兄弟のうち一人だけが両親の資産を使い込んでいる、または贈与を受けていた

3.離婚歴などでもめる
 前妻の子の存在を知らなかった
 外国籍の女性との間に実は子供がいた
 内縁であったため相続の権利が一切なかった

4.夫婦に子どもがいないためにもめる
 亡くなった夫(または妻)側の兄弟が相続権利を過剰に請求してくる
 相続権のない人が口をだしてくる

他にも、もし事業をしていれば後継者問題、遺言書があっても真偽不明問題など……

同調査で、「相続が発生しても相続争いは起こらないと思う」は8割以上
しかし、約4割が「身の回りで相続で揉めた話を聞いている」との回答。

やはり。
私も含め決して他人事ではないですね~

まずは自分の資産を把握する、家族で相続について話しをする機会をつくる……など、小さくてもまずは一歩、相続対策を始めてみましょう。